2008年診療報酬改定中央説明会アピール
2008年診療報酬改定の特徴は、@低報酬による長期維持管理の強化A包括化の拡大Bガイドラインによる歯科医師の裁量権の制限C低点数の定着化D施設基準の押し付け――です。
新設された歯科疾患管理料により、口衛指やP管理を廃止、口腔の長期管理を低点数で一本化しました。本来、指導や管理は、患者さんや、疾患に応じて行うべきものです。低点数のマルメのための一本化は許せません。
今改定では、包括化を一層進めています。包括化は、評価されるべき技術の減点・廃止であり、患者さんにとってわかりにくい上に、利益を損なうものです。実施した医療行為がきちんと評価されるよう出来高払いを堅持すべきです。
今改定に向けて日本歯科医学会が改定したガイドラインが歯科診療報酬に持ち込まれました。ガイドラインの改定の場への押し付けは、診療現場の混乱を招くものです。ガイドラインは、あくまで診療の参考とすべきもので、診療報酬に持ち込み、歯科医師の裁量権を制限するべきではありません。
歯科診療報酬は、長年にわたって低点数で据え置かれてきました。私たちの運動により73項目が20年以上も前から点数が変わっていないことが、国会で明らかになりました。今改定では3つの新技術・3つの先進技術が保険導入されたほか、若干の技術評価がされましたが、異常な低点数です。低点数の定着化は、医院経営を圧迫し、歯科医療の提供を困難にします。また混合診療拡大の危険性もはらんでいます。保険で良質な歯科医療を提供できる適正な技術評価に基づいた保険導入の拡大が求められます。
この間、厚労省は施設基準により医療の質の担保を一方的に医療機関に押し付けてきました。昨年の安全管理指針の整備の義務付けをはじめ、今改定でも歯科外来診療環境整備加算が新設されました。しかし、安全な医療提供体制のための公的費用は全く担保されていません。一方で施設基準による立ち入り検査などを実施し、医療機関への行政管理を強めようとしています。公的医療における安全な医療提供体制の整備は、国の責任であり、きちんと費用を担保すべできです。
私たちの運動が一定反映され、基本診療料の引き上げや、いくつかの技術の評価、新技術の保険導入などを実施させました。しかし一方では、医療費抑制政策としてのレセプトのオンライン請求義務化のために、包括化やガイドラインの押し付けによる診療報酬体系の変質が進められ、低点数化による混合診療拡大の危険性も広がっています。
現在の公的歯科医療の危機は、政府の低歯科医療費政策が招いた結果です。しかし、政府は基本姿勢を変えていません。声をあげなければ、さらなる低点数化が進められるでしょう。
歯科保険医の願いは、いつでも、どこでも、誰でも、安心して保険でよい歯科医療が受けられる社会です。その実現には、患者さんの負担を軽くし、診療報酬を大幅に引き上げることが必要です。
私たちは「保険でよい歯科医療」を実現するために全力を尽くします。
3月23日 大阪府歯科保険医協会 中央点数説明会