「平成20年度診療報酬改定に係る検討状況について(現時点の骨子)」
に対する政策部長談話
2008/1/24
現場にそぐわない“総合管理”おしつけ
技術進歩を反映した基礎点数改善が急務
大阪府歯科保険医協会
政策部長 小澤 力
中央社会保険医療協議会は、厚生労働大臣からの諮問に基づいて「平成20年度診療報酬改定に係る検討状況について(現時点の骨子)」を1月18日、取りまとめた。
「現時点の骨子」は、2006年改定方針をそのまま踏襲して医療の効率化をさらに求める内容になった。そのため、矢継ぎ早にガイドラインが改訂・新設され、新しい治療体系や指導管理体系がいきなり4月から臨床現場に押し付けられようとしている。特に、日本歯科医学会による「歯科疾患の総合的管理および高齢者の口腔機能評価に係る基本的考え方」に基づく1口腔単位の管理の方向は、さまざまな患者や病態への対応が求められる臨床現場からは到底理解できないものである。
重症化予防や口腔管理、在宅医療も含め真に「歯科医療の充実について」考えるなら、患者や疾患の個別性に応じた出来高払いを基本に、日々進化する技術に対する評価をきちんとすることが先決である。
小池晃議員の質問主意書とそれへの政府の回答からも明らかなように、20年間、まったく点数が変わってない技術等が73項目もある。この20年間、日進月歩してきた基本的歯科技術等への適正評価を放置し続けてきたことこそが重大な社会問題であり、今次改定で早急に改善すべき点である。
煩雑化された歯科医院事務を簡素化し、不当な低点数を引き上げ、包括化を早急に改めることが、真の患者利益につながると確信する。
2008年診療報酬改定にあたって、協会は以下のことを求める。
@“歯科疾患の総合的管理”を導入しないことA“患者の合意”を医学管理料等の算定要件にしないこと、そもそも医療は医師と患者の信頼と合意にもとづくものであるB情報提供は医学管理料と別に評価することC長期間据え置かれている技術料等を抜本的に引き上げることD不当な包括を止め出来高払いで基本的技術料を評価すること。
あわせて公聴会やパブリックコメントが形骸化しないよう、提出された意見をすみやかに公開し、中医協にきちんと反映させることを要求する。